どうもこんにちは、ユーリです。
皆さん、”虎屋の羊羹”をご存じですか?
知っている方は
という方が多いと思います。
そこで今回は
虎屋の商品(特に看板商品の”羊羹”)が高価にも関わらず売れるのか
を徹底解説します!
目次
【虎屋】基本情報(店舗や歴史など)
この記事では、虎屋の主力商品である”羊羹”について掘り下げてみていきますが、その前に、”虎屋”はそもそもどんなお店なのかを簡単にご紹介しておきます。
【虎屋】店舗数
店舗分類 | 店舗数 | 備考 |
直営店 | 7 | 関東・中部・近畿地方+パリ |
販売店 | 73 | 北海道~九州 |
虎屋菓寮・喫茶 | 9 | 直営店・販売店に併設 |
合計 | 80 |
ご覧の通り、店舗数は80店舗とかなり出店しています。特に和菓子にも関わらず、パリにも販売店があるのは驚きですね!
【虎屋】歴史
”老舗”と呼ばれる虎屋は室町時代後期に創業しました。公式HPの歴史概要によると、
とらやは室町時代後期の京都で創業。五世紀にわたり和菓子屋を営んできました。
後陽成天皇の御在位中(1586〜1611)より、御所の御用を勤めています。
明治2年(1869)東京遷都にともない、天皇にお供して、京都の店はそのままに東京にも進出、現在に至ります。
とのことです。
要するに、「当時都のあった京都で創業して以来天皇家のお菓子として使われていたが、東京に都が移った(遷都した)ことにより虎屋も東京進出を果たした」という感じですね。
ちなみに、天皇家の大切なお菓子としての役割は、今現在も果たしています。
詳細な歴史は公式HPにもありますので、興味のある方は是非お読みください!
【虎屋の羊羹】高い理由
老舗”虎屋”には、羊羹以外にも様々な商品が販売されていますが、主力商品である”羊羹”に焦点を当てながら、高価であるにも関わらず人気である理由を探っていきます!
【虎屋の羊羹】高い理由①原材料
虎屋で販売されている基本の5つの味それぞれの原材料は次の通りです。
<主要商品と原材料>
商品名 | 味 | 原材料 |
夜の梅 | こしあん味(小豆入) | 砂糖、小豆、寒天 |
おもかげ | 黒糖味 | 砂糖、黒砂糖、小豆、寒天 |
新緑 | 抹茶味 | 砂糖、豆類(白小豆、福白金時、手亡)、寒天、抹茶、クチナシ色素 |
はちみつ | はちみつ味 | 砂糖、はちみつ、豆類(白小豆、福白金時、手亡)、寒天 |
紅茶 | 紅茶味 | 砂糖、豆類(白小豆、福白金時、手亡)、寒天、紅茶 |
虎屋の羊羹の原材料はいたってシンプルで、基本は【砂糖・小豆or豆類・寒天】です。
「小豆」か「豆類」かは、こしあんベースか白あんベースかによって変わり、その他味の違いを出すためにそれぞれ異なる味の原材料が追加されます。
お菓子にはよく”グラニュー糖”が使われますが、虎屋の羊羹に使用される砂糖は”白双糖”という種類の砂糖で、その特徴は次の通りです。
- 精製度が非常に高く、純度は約100%なため雑味がほぼゼロ
- グラニュー糖より粒が大きい
- 無色透明で光沢をもつ
上記の通り、雑味はほぼゼロ・見た目にも無色透明で輝いているので高級菓子によく使われます。
精製度が高いということはその分手間もかかっているので、高価な製品に使われるのも頷けると思います(^^♪
虎屋の公式HPには、小豆に関して次の通り記載されています。
小豆は和菓子のいのちである餡の質を左右する大切な原材料です。とらやでは、北海道十勝産の「エリモショウズ」という品種を使用。北海道は国内最大の小豆の生産地で、特に十勝は昼夜の気温差が大きいため、風味が豊かで、色艶、舌触りの良い上質な小豆が育ちます
小豆の生産地として有名な北海道で生産されているのはもちろん、上質な小豆が収穫しやすい十勝にて生産された品種を使用しています。
白あんベースの商品の小豆は主に”白小豆”が使用されており、虎屋公式HPでは、白小豆に関して次の通り記載されています。
白小豆は気候に左右されやすく生産量が限られている希少原材料です。とらやが主として使用している白小豆は、「福とら白」※という独自の品種。種まきから収穫までほぼ手作業で栽培され、主な生産地は群馬県と茨城県です。とらやの白小豆栽培の歴史は古く、昭和2年(1927)、15代店主・黒川武雄が群馬県の利根郡農会(農協の前身)へ栽培を委託したことに始まります。
※2018年2月、この白小豆は農林水産省により「福とら白」として品種登録されました。民間による小豆の品種登録は初となります。
上記の通り、虎屋では”福とら白”という品種の白小豆を使用しており、古くから茨城県や群馬県で契約栽培を実施しています。
しかし、白小豆は天候に左右されやすく栽培が難しいことや、生産者の高齢化のため、安定的に収穫することが難しくなってきています。
そこで、生産地に虎屋の社員を配置して栽培の指導や支援を行ったり、原材料調達担当者が定期的に訪問して品種改良や農業指導などの様々な情報共有を行っています。
このように、原材料の生産者とお菓子の製造者が仕事を分け隔てなく一緒に行うことで、最良の白小豆が収穫できています。
こうした試行錯誤も、価格に反映されているのかもしれませんね。
虎屋の公式HPによると・・・
羊羹に欠かせない寒天は、天草(てんぐさ)などの海藻を原材料とした日本の伝統食品です。とらやで使用する天然の糸寒天は、雨や雪が少ない寒冷な山間地である長野県伊那地方・岐阜県恵那地方の指定工場にて、昔ながらの製法でつくられています。特性が異なるいくつかの種類の海藻をブレンドし、とらやが指定する品質(粘度等)に仕上げていただいています。
との記載があります。
寒天は味に直接影響するわけではありませんが、羊羹の硬さや粘り気に対して大きな役割を担っています。
そのため既定の品質を設けており、ブレンド後の品質がそれに見合うように微調整されています。
【虎屋の羊羹】高い理由②徹底された品質管理
”品質管理”は衛生面および美味しさ面の両面からアプローチすべきものですが、虎屋で毎日の品質管理で気を付けていることは
- 炊き上げ時の糖度管理
- 出荷前の糖度・硬度確認
の2点です。
虎屋は自社商品の特徴として、「少し甘く、少し硬く、後味良く」と表現しており、これを外さないためにも、糖度・硬度の調整や確認を徹底しています。
羊羹を大きい釜(小形羊羹だと1釜3000~4000本できます!)で炊いていくのですが、糖度計で測定して既定の糖度になるタイミングを見計らって炊き終わりとします。
羊羹を炊きながらヘラで練っているときの感覚で調整していくので、この最終の微調整はベテランのみが行える仕事です。
羊羹を炊き上げて固めて販売する状態にできたら、今度は完成品の糖度と硬度の測定です。
完成品を管理・検査するわけなので、自社で検査する用の羊羹を出荷用とは別で用意するのですが、これは炊いた釜ごとに行います。
例えば、1~10までの釜があった場合、それぞれで3000~4000本作られますが、各釜から1本ずつ抜き出して検査します。検査した結果不具合があった場合に備えて各釜5本程度を出荷用とは別に作るので、これらは完全に収益を気にせず作る分だといえます。
そして検査の結果、規定から外れた釜で作られた羊羹は全て出荷停止となってしまいます・・・。
通常通り販売する分とは別に検査用の羊羹も作らなければいけないので、こちらも会社にとっては少しマイナスです。
【虎屋の羊羹】高い理由③販売員の接客スキル
お菓子の販売員といえばパートやアルバイトで成り立っているお店も多いですが、虎屋は大半が正社員です。繁忙期に販売店でバイトしたことがありますが、自分以外は全て社員さんでした。
入社後販売職向けに2週間程度の研修もあり、そこで商品知識や包装スキル、接客マナーなどを学びます(これとは別に、職種問わず会社のことを学ぶ全体研修もあります)。
言葉遣いや立ち居振る舞いなどを徹底的に訓練された人だけが接客しているわけなので、それまでの人件費も商品価格に少し反映されているのかもしれませんね。
さいごに
いかがでしたか?
虎屋にかかわらず、「なぜ高価なのに売れるのだろう」という疑問を抱く方がいらっしゃると思います。
今回は、そんな疑問にこたえるべく、高級和菓子屋の代名詞ともいえる”虎屋”の秘密をお伝えしてきました。
この記事をきっかけに虎屋の羊羹の美味しさの秘密を知って、”少し甘く、少し硬く、後味よく”を目一杯感じながら食べていただけると幸いです(^^♪